タダより安い?原油先物価格がマイナスってどういうこと?

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ニュースで原油先物価格がマイナスになったって言ってたけど、価格がマイナスになるってどういうことなんだろう?

確かに非常に珍しい現象みたいだね。これは原油という現物の特徴と先物取引の特殊性から起きているようなんだ。

じゃあ、今石油先物を買っておけば大儲けができるかも!

たしかに歴史的な安値になっているみたいだけど・・・大丈夫かな?先物取引、石油取引についてきちんと調べてみよう。

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原油先物価格がマイナス?

原油先物価格がマイナスになったことが大きな話題になりました。原油1バレルの価格がマイナス37ドルという値段をつけました。物の価値がマイナスになるということ自体に違和感を感じますが、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。価格がマイナスということは買ったほうが金を受け取る、ということなのでしょうか?

また、この異例の事態は国際市場全体にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。原油先物取引に関わっていない人であっても、これだけの事態になると影響は小さくないのではないか、そしてそれは社会にどんな事態を引き起こすのか、そんなことが気にない、調べてみましたのでご紹介します。

原因①先物取引の仕組み

まず価格が0未満になるということ自体が実際の現物売買の市場においては通常ありえないことですよね。物を売ったほうがお金を払い、買ったほうがお金を受け取る・・・、そんなことがあり得るのでしょうか。

まず「先物取引」の仕組みについて調べてみましょう。

先物取引とは?

ある商品を将来の一定期日に、あらかじめ取り決めた条件で売買すること。期日にどの程度の価格になるのかを考えて取引をする。

【例】現在(4月)欲しい宝石Aが10万円で販売されている。これをボーナス10万円が入ってから(7月)購入したいと考えた。しかしこの宝石Aは価格が変動するので7月の段階で価格が高騰している可能性がある。もし10万円を超えた金額になっていたら購入することができない。そこで7月に10万円で宝石Aを購入する約束をするのが「先物取引」である。

この取引をした場合、7月に宝石Aの価格が15万円になっていれば購入者は15万円のものを10万円で購入できるため、5万円の利益を得る。一方価格が5万円に下がっていた場合、それでも10万円で購入しなくてはならないため、5万円の損失が生じる。

もともとは江戸時代に米相場の価格変動リスクを回避するために大阪の商人たちが淀屋米市場で始めた取引から始まったといわれる。ヨーロッパなどでも綿花などの取引で普及をし発展した。現在では株価指数や債券など金融取引の分野などでも取引されている。

現在世界各国で行われている先物取引の発祥が江戸時代の日本だというのは驚きですね。先物取引大まかな仕組みはわかりましたね。

ちなみにニュースでは「WTI原油先物」という言葉が見られますがこの「WTI」とは何を示すのでしょうか?

WTI原油先物とは?

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI(West Texas Intermediate)というアメリカの代表的な原油の先物商品のこと。WTIとは、西テキサス地方の中質原油という意味で、この地方の原油は含有硫黄分が少なく軽質で、ガソリンや軽油が多く採れる。WTI原油先物は、1983年5月にニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場され、同取引所の主要商品となっている。

このWTI原油先物にも清算日が決められており、今回話題になった5月限(=5月に現物を引き渡す取引)の清算日は4/25(土)となっていました。土曜日なので実際には1日前倒しの4/24が清算日、また3営業日前が清算前の最終取引期限となるため、WTI原油先物5月限の最終取引日は4/21となるわけです。

・・・ん!!今回原油先物が暴落したのが4/20。ここと何か関係がありそうですね! では世界の原油取引情勢を見ながら原因を見ていきましょう。

原因②原油取引の特殊性

原油価格の問題は以前から国家間の減産合意についてのニュースが話題になっていました。アメリカとサウジアラビア、そしてロシアそれぞれの思惑が入り乱れた複雑な問題に発展しているようですので少し要約して整理します。

アメリカの立場

  • シェールオイルの台頭で世界一の産油国になった。この立ち位置は死守したい。
  • 当初原油価格の下落は消費促進につながるとして歓迎していたが原油価格下落が株価の急落を後押ししたとして態度を急変。
  • 価格下落に歯止めをかけるためロシア・サウジに減産を求めたい。

サウジアラビアの立場

  • 原油が国としてのメイン産業であり依存度が高いため、価格下落で国家財政の悪化が懸念される。
  • アメリカが後発のくせにガンガン増産しているのには納得いかない。
  • アメリカが減らさないなら増産する、とけん制。
  • ロシアが3月に減産を拒否して増産し続けていることに不服。

ロシアの立場

  • シェール増産で石油市場で台頭してきたアメリカを警戒。
  • OPECプラスにアメリカが入っていないのが納得いかない。
  • アメリカが勝手なことやっているのだからロシアが減産する必要はない。
  • 原油安でも10年は耐えきれる、、と強気。

こんな三つ巴の関係の中で減産合意が取り付けられず徐々に価格が下がっていたのが3月。OPECとOPECプラスの緊急のテレビ会議でどうにか減産に向けた歴史的合意を取りつけられたのが4/12でした。

そんな中で新型コロナウイルスの感染拡大による原油需要が大きく落ち込み、共有過剰が続いており、価格は回復どころか落ち込んでいきました。もはや合意通りに各国が減産を行ったとしても需要の落ち込みが激しいために、1000万バレル(1バレル=159L)ほどの在庫余剰が生まれるとの見方も出てきました。

石油の在庫を保管するは当然大規模な石油タンクなどの専門の貯蔵施設が必要になります。WTI先物の現物を受け渡す場所があるオクラホマ州クッシングの原油貯蔵施設はあと数週間で満杯になると予想となっているのに加えて、米国の中央部に位置することもあり、タンカーも使えないそうです。

そこで先物取引の復習。

5月限のWTI原油先物の購入権利を最終取引日である4/21までに売り切れなかった場合どうなるか?・・・なんとオクラホマ州クッシングまで原油を引き取りに行って運搬し、石油保管設備を用意して保管しなくてはいけなくなるわけです。これには莫大な資金が必要になりますから、タダでも、いやむしろお金を払ってでも引き取ってもらいたい、となるわけですね。

株式市場への影響は?

では肝心の株式市場への影響はどうでしょうか。

  • 赤=S&P500
  • 青=WTI原油先物
  • 黄=CVX(シェブロン)
  • 緑=XOM(エクソンモービル)  

チャートを見る限り、暴落の前後で米国株式市場全体(S&P500)やアメリカの石油関連企業に大きな影響は出ていないように見えます。ただしコロナウイルスの感染が終息し経済活動が再開されて、石油需要が回復しない限りは原油価格の値動きは不安定なままでしょう。そうなるとエネルギー関連企業を中心に業績見通しの不透明な状態が長引きそうです。

また、新型コロナ感染に伴う世界的な非常事態にあって、緊急措置として原油減産合意を取り付けたものの、この危機に乗じてオイルマネーを牛耳ろうという各国の意思も見え隠れします。そうでなくても今回のコロナ騒動で世界的に国家主義的姿勢は明らかに強くなっているように見えます。

これが国家間の紛争の火種にならないとも限りませんし、それが企業業績や株価に影響しないとも限りません。いずれにせよ過去に例を見ないほど非常に先行き不透明な情勢であることは間違いでしょう。

では投資家としてどのような判断をしていくべきなのでしょうか。

まとめ

今回は原油先物価格がマイナスになるという異例の事態について考えました。振り返れば米国市場でのサーキットブレーカー連発、その後の驚異的な財政出動による株価の回復、需要の低迷や失業保険申請件数の驚異的な増大など、経済情勢は非常に不安定な状況が続いてきました。

今回の石油先物価格の暴落をチャンスと見て先物取引に参入したり、石油価格連動型のETFを購入してみたり、などの動きも一部見られるようですが、この石油取引というのは国際的なリスク要素、政治的な要素があまりに複雑に絡みすぎて一般の個人投資家には参入障壁が非常に高い分野のように思います

”Risk comes from not knowing what you’re doing.”

 -リスクというものはあなたが何をやっているかを理解していないときにこそやってくる。 

ウォーレン・バフェット

前回同様バフェットさんの名言を思い出したくなる局面です。

私としてはこの局面だからこそ、保有しているリスク資産を慌てて売却するとか石油関連の金融商品に知識が十分でないのに飛びついてしまうのは避けるべきと考えます。

リスクが高まっている中でこそ冷静に割安になった成長株や投信・ETFをコツコツ積み立てていくこと、世界的に地政学的リスクが高まっているため国の分散投資も忘れないこと、なにより知らないこと、不慣れなことには手をだなさいこと、など基本に立ち返り正しい判断をしていきたいものです。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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